国や天皇のための印鑑とは どんなものでしょう?
個人や会社と同じように、国や天皇家にも印鑑があるということはご存知でしたか?
社会生活において日本人の私たちは日々色々な場面で印鑑を押す機会があり、印鑑は個人を証明し財産や権利を守る大切なものです。会社や法人も会社印鑑(法人印鑑)が必要となり、印鑑の果たす役割や責任はとても重要な物です。
同様に、国や天皇家として持つ大切な印鑑があります。
それぞれに「国璽(こくじ)」・「御璽(ぎょじ)」と呼ばれており、国璽は国家の印鑑、御璽は天皇の印鑑です。
国璽(こくじ)
国家の象徴として用いる印のことで、明治4年(1871年)に制定されました。「大日本国璽」と彫刻されています。三寸(9センチ)四方の角印で、金製の金印です。金製のため4キロ近い重さがあるそうです。
かつて明治憲法の下では、批准書や全権委任書、信任状などに用いられました。現在の憲法下では、勲記(受勲者に勲章と共に与えられる証書)の際にのみ用いられています。
御璽(ぎょじ)
天皇の印鑑です。代々皇位を継承する時に引き継がれていきます。国璽と同じ大きさ形状で、金製です。「天皇御璽」と刻印されています。大きくとても重いので、係の方が二人がかりで押印するそうです。(天皇ご本人が押印するわけではないそうです)
現在の詔書(国の機関としての天皇の意思表示の公文書で、一般に公示されるもの)、法律、政令、条約、批准書(条約に対する国家の確認・同意を示す文書)、大使の信任状、全権委任状。。。など国家としての重要な文書に押印される印鑑です
御璽の歴史は古く、飛鳥時代701年の大宝律令で当時はまだ「内印」と呼ばれていた天皇御璽が規定された、というところまでさかのぼることができるそうです。(「内」は、「天皇」を意味します。)
実際に捺された資料が、奈良時代の正倉院文書などにあるそうです。
天皇家に代々受け継がれてゆくもの
日本国憲法下では皇位継承儀式では、皇位の証である三種の神器と共に国璽と御璽も継承されます。三種の神器は、国家・天皇の象徴であり、璽は天皇の証(あかし)なのですね。
剣璽等承継の儀や今上天皇の即位の礼正殿の儀の時に、この御璽が国璽と同じ御櫃に収められて、三種の神器とともに捧げ持たれていたそうです。
三種の神器とは、天皇家に受け継がれてきた、八咫鏡・八尺瓊勾玉・草薙剣のことです。皇族はもとより天皇でさえもその実見はなされておらず、多くの面が謎に包まれているそうですよ。
国璽は日本独自の物?
国璽は、日本だけでなく欧米諸国や中国・韓国にもみられます。
欧米はいわゆる封蝋タイプ
欧米では、アジア圏のような朱肉で押印するタイプではなく封蝋的な、蝋を溶かして押しつけるタイプです。平らな円盤状になっています。
イギリスやアメリカではグレートシール(Great Seal)、フランスではグランソー(Grand Sceau)と呼ばれます。いずれも、「国の璽(印章または印影)」という意味です。
イギリス:グレートシール(Great Seal)
ほとんどの重要な公文書に押印される印章です。国家・イギリス王室の公文書には目的別に色を分けて押印されるそうです。
アメリカ:グレートシール(Great Seal)
国・地方政府・教会などの要職が、重要書類に押す印章です。13枚の葉のついたオリーブの枝と13本の矢とをそれぞれの足に握った鷹の図柄は大統領演説の際にも目にしますね。
フランス:グランソー(Grand Sceau)
自由と正義の象徴を掲げ持ったジュノの姿が描かれています。
アジアは押印タイプ
アジア圏である中国や韓国の国璽は、日本と同様に朱肉で押印するタイプの印鑑です。
台湾(中華民国):「中華民國之璽」
台湾では国璽として「中華民國之璽」を所有しています。国書、批准書、接受書、全権証書、領事証書、領事委任状などに押印されます。「中華民國之璽」と縦書きで、右側から「中華」、「民國」、「之璽」と彫刻されています。1929年から受け継がれ、現代でも台湾の総統に受け継がれています。
日本の国璽が金印なのに対し、翡翠でできているそうです。
一辺13.3cmの角印で、高さは4.3cm、重さは3.2kgで、大きさ重さともに、日本の国璽と同様大きくて重い印鑑です。
中華人民共和国:「中華人民共和國中央人民政府之印」
建国直後の1945年から国印として「中華人民共和國中央人民政府之印」が用いられましたが、1959年以降は不明とのこと。縦書きで、右側から「中華人民共」、「和國中央人」、「民政府之印」と彫刻され、一辺7cmの角印で、高さは2cm、持ち手の長さは9.3cmなのだそうです。
韓国:「大韓民国」
戦後大韓民国が誕生した時から作られており、1949年に第一代国璽が作成されました。現代では2011年の第五代国璽と受け継がれています。「大韓民国」と訓民正音書体のハングルで彫刻されているそうです。
一辺10.4cmの角印で、、重さは3.38kgと韓国の国璽も大変重いものです。純粋な金印ではなく、金2.6kgに銀、銅、亜鉛などを加えた合金でできているそうです。
このように、アジアと欧米とでは「国璽」の形態が違っていることは興味深いですね。また、欧米では「シンボル」として様々な意味を込めた図柄として、漢字文化からなるアジアでは文字が、それぞれに「国の証」として用いられていることも面白いと感じます。
国家としての象徴であり意志の証(あかし)となるもの
個人や法人における印鑑文化は現代においては日本独自の文化となっています。けれど国家としての象徴や証として、東西の国で「印」が用いられているということはとても興味深いものですね。
日本人だからこそ育まれた印鑑の文化と慣習
欧米ではサインだけで済ませてしまう大切な契約や承認を、日本では押印にて行います。その誠実に律義に物事を進める姿勢は、日本人の細かさが育んできた独特の文化であり慣習といえるでしょう。社会生活においてあなた自信の証(あかし)となる大切な印鑑は、信頼のおける老舗印章店にご用命くださいませ。
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